2008年09月05日
「できないこと」理解すべきだ
ー日本地震学会の主催する「住民地震セミナー」が先月末、岩手・宮城内陸地震の震源に近い宮城県栗原市と岩手県一関市であった。地震研究の現状を紹介しようと、被災地で初めて開いた。
会場をのぞいてみた。
印象的だったのは、何人かの研究者が
「震源断層は事前にマークできていませんでした」
「震源周辺の地下構造もよくわかっていません」
などと率直に発言したことだ。
市民向け教養講座で話すのとはわけが違う。
学者相手の学会発表でもない。
揺れの恐怖をを体験した被災者の前で、地震研究をする今の「科学」は不十分で限界があると語ったのである。
防災に資する「技術」もそうだ。
揺れの前に警告する「緊急地震速報」は、不発や、誤差で評判は芳しくない。
しかし、先ごろ開かれた緊急地震速報の企業・自治体担当者向け講習会で、防災学者は強調した。
「間に合わないから役に立たない、ではなく、揺れまで5秒なら、その5秒で何ができるか事前に考えることが大切です」
源栄正人東北大教授も言った。
「緊急地震速報にシロかクロかを求めすぎる。灰色があってもいい。」
技術的限界を知ったうえで、上手に生かす道を考えることが最優先なのだろう。
防災は自衛が基本である。
にもかかわらず、私たちの心の片隅に、こんな思いは潜んではいまいか。
地震を研究する「科学」や防災の「技術」には目ざましい進展があるはずで、いざとなれば生命・財産うを守ってくれる・・・・。
私たちは日々の暮らしで、科学技術を意識し、関心を寄せることはあまりない。
それなのに、過度に求め、期待することはないか。ー






ー大自然の猛威の前で、人間の存在はあまりにも小さい。
人間の知恵などたかがしれている。
それなのに関心を持たない。
一番恐いことだ。
科学で「分かること」 「分からないこと」を明確に知り、防災技術で「できること」 「できないこと」を理解する。
当たり前だが大切だ。
8月26日付け 読売新聞より
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